"絆" KIZUNA プロジェクト 2013 報告


Peace Field Japan は、2013 年8 月に、" 絆" KIZUNA プロジェクトを行いました。これは、日本の地域社会を舞台に、イスラエル、日本、パレスチナの青少年の交流と対話によって信頼醸成を行う平和のための活動です。三地域の青少年が日本の自然豊かな山里で共に生活し、地域の人が育んできた暮らし、自然、文化、伝統にふれる体験を共有することで、お互いを受け入れ、絆を築くと共に、持続可能な平和な社会を作るために何ができるのかを一緒に考える場を提供しました。
 
"絆"KIZUNAプロジェクトは、日本の地域社会を舞台に、イスラエル、日本、パレスチナの青少年の交流と対話によって信頼醸成を行う平和のための活動。
関わった日本の青少年が現地の参加者を訪ねて交流を深め、フォローアップを行い、平和な社会作りへ向けて行動できる青少年の育成を支援しています。
 
これらの活動を通して、イスラエルとパレスチナの人たちが平和に暮らせる社会の実現を、目指しています。

プログラム概要

 
1) 参加者:
    イスラエルの高校生女子4名、指導者1名
    パレスチナ(西岸)の高校生女子4名、指導者1名
    日本の15才から19才の女子4名

2) 開催地:山梨県北杜市、小菅村、東京都内

3) 期 間:8月13日~25日
   場 所:山梨県北杜市、小菅村、東京都内
   参加者:イスラエル、日本、パレスチナの16~19才の青少年各4人
   主 催:認定特定非営利活動法人PEACE FIELD JAPAN
   助 成:独立行政法人国際交流基金、一般社団法人東京倶楽部
   協 力:公益財団法人キープ協会
   後 援:外務省、文部科学省、小菅村役場、小菅村教育委員会、
       駐日イスラエル大使館 駐日パレスチナ常駐総代表部
   協 賛:横浜南ロータリークラブ、津田眼科クリニック
   物品協賛:アリサンオーガニックセンター、株式会社東あられ本舗、
                    インド&パキスタンレストラン スルターン、新亜細亜貿易株式会社、
                    セカンドハーベストジャパン、株式会社はくばく、
                    株式会社マンナンラフ、株式会社良品計画、川崎ロータリークラブ、
                    横浜瀬谷ロータリークラブ

4) 日 程:
    8月 13日(火) 成田着 清里高原へ移動
    8月 14日(水) キープ協会でのプログラム、ハートコミュニケーション講座
    8月 15日(木) 小菅村に移動、オリエンテーション、生活のルール作り、 
                                  家族/暮らし紹介
    8月16日(金)  自然体験(源流体験)、里山講座
    8月17日(土)  長作集落散策、ソバの種まき体験、茶道体験、
                                  そばせん作り体験
    8月18日(日)  自然体験(山登り)、チームで料理作り
    8月19日(月)  源流の森と水を考える(雄滝、源流の森、下水処理場、
                                  養魚場、林業廃棄物センター、間伐体験)
    8月20日(火)  対話、小菅村の子どもたちとの交流
    8月21日(水)  布草履作り体験、そばうち体験、ホームステイ
    8月22日(木)  持続可能なコミュニティ作りのためのアクショプラン作り
    8月23日(金)  お礼の会(中東の文化、料理紹介と成果報告会)
    8月24日(土)  東京に移動、フェアウェルパーティー
    8月25日(日)  両国参加者帰国

プログラム内容

 

8月13日(火)

イスラエル、パレスチナからの参加者が成田空港に到着。バスで清里に向けて出発。途中都内で日本の参加者とスタッフが合流し、清里高原のキープ協会に到着しました。オリエンテーションの後、キープ協会の星居さんが”桃太郎”の昔話の読み聞かせと、紙ナプキンでバレリーナを作るアクティビティをしてくださいました。長旅の疲れと時差もあって、早めに就寝。

8月14日(水)

午前中、聖ヨハネ幼稚園を訪問して園児たちと交流しました。幼稚園では、3地域の参加者を温かく迎えていただき、森の中で、元気いっぱいの園児たちと触れ合いました。参加者たちは、園児が自然の中での遊びに長けていることに感心し、言葉がわからなくてもコミュニケーション力を発揮している子どもたちのおかげで、すっかり打ち解けていました。
 
午後は、キープ協会の創設者であるポール・ラッシュ氏が、日本人の仲間と信頼を築き、困難を乗り越えてその人生の中で達成した偉業について、ピース・プラクティショナーのローラさんから講義を受けました。参加者たちは、ラッシュ氏が示した”人と人の交流の大切さ”を学びとったようです。ポール・ラッシュ記念館を訪問した後、鳥屋尾さんによるアイスブレーク・プログラムで盛り上がりました。夜は、プログラム中のコミュニケーションの基本となる、ハート・コミュニケーションのセッションを行いました。「Love, Respect, Compassion」がプログラムを通しての一貫したアプローチとなりました。

8月15日(木)

2008年の参加者が植樹した「Peace Youth Tree」の前で、2日間のプログラムを終えての感想を全員で共有してキープ協会を出発、小菅村の寺子屋自然塾に到着し、前日から準備をしていたスタッフに迎えられました。オリエンテーション、共同生活のルールを決めた後、家族や友達、趣味や好きなものをパワーポイントで紹介しあい、お互いのバックグラウンドを知りました。
 
参加者12人が同じ部屋に寝泊まりしての共同生活、いよいよ小菅村でのプログラムの始まりです。夜は、お隣の丹波山村で行われた盆踊りと花火大会に行き、櫓の上で太鼓をたたかせていただき、盆踊りの輪にも入れていただきました。谷間に打ち上がる大きな花火に歓声をあげていました。

8月16日(金)

今年も、毎朝ラジオ体操を行いました。午前中は源流体験。NPO法人多摩源流こすげの井上さん、菅井さん、鈴木さんに案内していただき、多摩川の源流を歩きました。緑いっぱいの森を流れるきれいな水につかり、歓声をあげながら、中東とは違う日本の自然を感じました。
 
豊かな森があってこそのきれいな水であること、自然の大切さを学びました。午後の”里山講座”では、持続可能なコミュニティのモデルである里山での自然と人とのかかわり、自然の循環の中での暮らしを学びました。スタッフによる、”里山のある一日”の劇は大好評で、参加者たちが里山を理解するのに役立ちました。

8月17日(土)

長作集落を歩き、小菅村の自然や暮らし、直面している課題について、スタッフから説明を受けました。そして今年も、毎年お世話になっている守重敏夫さん、広子さんご夫婦の畑でそばの種をまきました。鍬で畝を作り、種をまき、土をかぶせる、という畑作業です。このそばは、2012年の参加者がまき、秋にスタッフが収穫したものです。
 
同じように、また2014年の参加者が今年まいたこのそばの種をまく予定です。心をこめて、畑で野菜を作っていらっしゃる守重さんの思いにもふれました。また、トマトやきゅうりなどを採らせていただき、農薬も化学肥料も使わずに、心をこめて育てられた野菜の新鮮な味に、感動していました。
 
午後は”一期一会”の意味を理解するための茶道体験。抹茶や和菓子は苦手でしたが、人と人がその瞬間、空間を共有することの意味を感じました。次は、そば粉を使ったそばせんべい作りです。丸めた生地を鉄型に入れ、すばやく型を回しながら焼く作業です。焼き上がったら、寺子屋の焼き印を押してできあがりです。そばを通じて食と文化、自然のつながりを体験した日でした。

8月18日(日)

守重敏夫さんの案内で恒例の標高1349mの奈良倉山登山です。途中で断念しそうな参加者もいましたが、全員で頂上まで登りきることができました。それが自信となり、表情が変わった参加者も。夕食は、参加者が2グループに分かれて用意された食材を使って料理しました。

結局、中東料理風のメニューとなりましたが、自分たちで作った夕食は格別だったようです。

8月19日(月)

多摩川源流の村である小菅村の自然を守る取り組みについて学ぶ一日でした。小菅村役場の木下さんの案内で、まず、雄滝へ。一面の緑の中、きれいな水が落ちる滝で自然を感じました。東京都の水源林となっている森では、森の手入れの仕方、高齢化で森の手入れが難しいこと、東京からボランティアが間伐の手伝いに来ていることなどの説明を受け、下流域に水を提供するために必要な森の管理の大切さを学びました。地域での環境の活動をしている参加者たちは、熱心に説明を聞き、質問が相次ぎました。
 
また、小菅養魚場で、きれいな水があるからこその産業となっているヤマメやニジマスの養殖について教えていただきました。使った水をきれいにしてから川にもどしていることを伺いました。また、上流の村の責任として、下水を処理してから川にもどすための下水処理場、村の全家庭から生ゴミを回収して堆肥にしている林業廃棄物センターを見学しました。実際に、各戸から回収してきた生ゴミとおが粉をフォークリフトでかくはん機に入れる作業を見せていただき、堆肥になるまでの作業を一人で担当されていることに、参加者は驚いていました。
 
その後、守重さんの森で、間伐体験を行い、森の手入れが大変なことを実感しました。小菅村の人たちの、自然を守る取り組みの現場を見ることができ、参加者にとって貴重な学びの場となりました。
 夜は、浴衣を着て夏祭り。集落の方が用意してくださった、地元の食材を使っての郷土食をおいしくいただき、スタッフによる出し物を楽しみました。

8月20日(火)

午前中はシェアリング。共同生活を行う中で生じた課題を共有し、お互いの理解を促す機会でした。個人と個人として、相手を尊重し、受け入れる転機となりました。午後は、小菅村の子どもたちと、子どもたちが親しんでいるビーチバレーボールで交流しました。
 
毎年参加してくれている子どもたちも何人かいて、村の木を使って建てられた、木の香りのする体育館で、楽しい時間を過ごすことができました。夕食は巻き寿司作り体験。中東でも人気が出てきている寿司ですが、アレンジされていない、日本本来の巻き寿司作りに挑戦しました。

8月21日(水)

古くなったTシャツで作る、布草履作りを体験しました。草履作りという伝統の技を現代のリサイクルとあわせたアクティビティで、それぞれが家から持って来た古いTシャツを割いて、草履を編みました。集落の方々に教えていただきながら、事前に何度も練習してきたスタッフが一対一で参加者につき、カラフルな草履を完成させました。その後は、そば打ち体験です。
 
これまで、毎年参加者が種をまき、スタッフが収穫してつながってきたそばを石臼で挽き、集落の方々を講師に、そば打ちをしました。昼食は自ら打ったそばと小菅村でとれた野菜の天ぷら。太さがまちまちでしたが、初めて自分で作ったそばの味は格別だったようです。
夕方から、ホームステイ。日本の暮らしを知る貴重な体験ができ、忘れられない思い出になりました。

8月22日(木)

ホームステイから戻り、一週間前にまいたそばの畑に行きました。すでに芽が出ていて、自分がまいた畝の芽をうれしそうに見ていました。午後は、2週間を通して学んだことをまとめ、一人一人が、昔から受け継がれて来た自然、文化、伝統を未来へつなげる責任があることを確認しました。
 
そして、プログラムで学んだことを活かして、自分達の地域で何ができるのか、グループで話し合い、まとめました。プログラム後、それぞれの目標ができました。

8月23日(金)

小菅での最後の1日。夜のお礼の会へ向けて、みんなで協力して会場の飾り付け、中東料理作りなど、朝から準備をしました。共同で行う作業もいよいよ最後です。夜のお礼の会では、ホストファミリー、村の子どもたち、お世話になった村のみなさまが大勢参加してくれました。
 
参加者が料理した中東料理でおもてなしするとともに、それぞれの地域のダンスを一緒に踊ったり、4カ国語でピースソングを歌いました。

8月24日(土)

東京に移動し、浅草を訪れて小菅とは別の日本の風景に触れました。フェアウェルパーティーでは、パレスチナ料理を楽しみながら、プログラムの様子をふりかえるスライドショーの後、参加者一人ずつに修了証を授与しました。

スタッフも一緒に、最後の別れを惜しんでいました。

8月25日(日)

イスラエル、パレスチナ参加者帰国。日本の参加者が成田空港まで見送りに行きました。近い将来の再会を期してのお別れでした。

関連の活動

 1) 講演会/報告会(2013年10月12日開催)
 
 2) イスラエル、パレスチナへのスタディーツアー(2014年3月)

参加者からのメッセージ

 
ここで関わった多くの人たちと絆を築けたと思うし、自分の周りのものとの様々な絆を感じた。自分は、自然とも深くつながっているということもわかった。このプログラムのおかげで、自然の大きな価値についても気づけたと思う。(パレスチナ人参加者)


小菅の人たちと自然、環境の絆を見ることができた。また暮らしている場所と文化とのつながりも感じた。そして異なる場所から集まり、異なる文化を持つ、他の参加者たちとの素晴らしいつながりを築くことができた。(イスラエル人参加者)


このプログラムと合宿生活の中で得た体験を周りの人たちに伝えたい。小菅村での様々な体験や学んだことを、私たちのコミュニティの発展と活性化のために活かし、取り組んでいきたいと思う。(パレスチナ人参加者)


様々なアクティビティで里山文化を実際に体験させていただけたことも、私のこの後の人生でのものの見方を広げる手助けになるのではないかと思う。(日本人参加者)


村の方々がどのように自然と共存しているかを学んだ。そして環境を身近なものとして感じられるようになった。自分が自然と環境の欠かすことのできない一部だということを強く感じた。私達が自然や環境を守っていけば、私たちの生活も持続していくということがわかった。(パレスチナ人参加者)


時にとても難しいことであっても、あきらめずにがんばり続けることの大切さを学んだ。また、人々が達成したいと思う目標をめざして一緒に取り組めば、人生において、もっと楽にいろいろなことを成し遂げられることを学んだ。(イスラエル人参加者)


家に帰ったら、プログラムで学んだ経験を自分のコミュニティやその他のコミュニティに活かしたい。まわりの人たちに、コンポストや水をきれいにすること、世代から世代へつなぐこと、いらなくなったものから新たなものを作ること、そして自分の文化との絆を感じて、それを将来につなげていくことの必要性を伝えたい。学校、村、そして青少年活動の中で、いろいろな活動を行っていきたい。(イスラエル人参加者)